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~草原~
そのど真ん中に莱の姿はあった。
「…ん…」
莱は、ゆっくりと目を覚まし、周りに視線を向ける。
「…何処だ。ここは…!白莢に紅蓮は無事見たいだな…」
莱は、自分の手の中に何か堅いものを感じてそれが二振りの刀であることに胸を撫で下ろした。
幸い刀にはヒビどころか傷一つついていなかった。
「…一体ここはどこなんだ…それに、俺はいつ着替えた…」
莱は、自分の格好に視線を向けて盛大な溜息を吐いた。
その格好は、上質な着物に身を包んだどこかの若様っと言った風貌だった。
「(考えたところでどうしようもないな…にしても、この格好に何で刀を持っても不自然じゃないんだ?まるで、刀を持つことを前提に作られたような…)」
【ガサッ…】
「!誰だ!?」
「!?如月さま!?」
莱は、いきなり現われた第三者に自分の名前を呼ばれたことに固まった。
そこには黒い長髪をポニーテールにした一人の青年が莱の顔を見つめて目を見開いていた。
「(何で、俺の名前を…それになんなんだ、あの格好は…)」
莱は、目の前の青年の格好に顔をしかめた。
それもそうだろう、莱の目の前に立つその青年の格好は鎧兜に身を包み何処からどう見ても“戦国の武将”と言った出で立ちだったのだ。
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