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「…(すでにこのとき有名なのか…まずい状況になったな…今は、俺の置かれてる状況なんてどうでもいい…面倒ごとは嫌いなのに…)」
莱は、五郎左衛門の背後から敵である馬上の男たち五人を密かに睨みつける。
「(まずい。私だけならばまだしも、今は…莱さまの様子もおかしい…ここは私が莱さまを守らなければ…)」
「飛んで火にいるなんとやらだな…」
「…如月さま…どうか、お逃げください…」
「!!何を…」
「ここは、私がこの命に掛けて食い止めますので…」
「!!…ハァ、面倒なことは嫌いなのに…(だからって、俺の為に命を投げ出すようなことをさせられるか…)」
莱は、五郎左衛門の言葉に表情を歪めて極々小さな言葉でそう呟いた。
「如月さま??」
「…莱だ。苗字で呼ぶな…」
莱は、五郎左衛門の言葉に何故か決まり文句のようにそう返していた。
その言葉を聞いた五郎左衛門はどこか嬉しそうにそして、ほっとしたように表情を緩めた。
「はい、莱さま!!」
「…五郎左…俺の心配はいい…今は、この状況の打開が先だ」
莱は、小声でそう五郎左衛門に耳打ちする。
その言葉に五郎左衛門は、無言で頷いた。
「何をゴチャゴチャと…!!お前は!!如月家の当主!!!!」
漸く莱の存在に気付いたらしい男に声に莱は、心の中で遅いと突っ込むと同時にこの頃から如月家ってかなり有名だったんだななどと暢気に感想を述べていた。
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