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「(今は面倒だのなんだの言ってる場合じゃない…)…五郎左」
莱は、目の前の五郎左衛門の背に向かって小さく声をかける。
「は、はい!」
「…俺にその背を預けられるか?」
莱の言葉に五郎左衛門の肩がピクリと反応する。
そして、真っ直ぐな瞳で莱を見つめ口を開いた。
「…背といわず、この五郎左…莱さまにならばこの命さえも預けましょう…」
「!…(命…か…)確かに預かった…共にこの場を斬り抜けるぞ!!」
莱は、五郎左衛門の言葉にそう高らかに答えると馬上の武士を真っ直ぐ見据えた。
「はっ!」
五郎左衛門は、莱の言葉に誇らしげにそう答え、武士たちを睨み据えた。
「なんと愚かなご判断か…致し方ない…如月さまにも少々痛い目に合っていただこう…」
馬上の武士のその言葉に部下と思われる足軽たちが莱と五郎左衛門目掛けて襲い掛かって来た。
「…如月家当主を甘く見るな!」
莱は、白莢を抜刀することなく足軽の太刀を受け止める。
「莱さま!」
「く…(如月流剣術…初太刀の型…)白雪(ハクセツ)!」
莱は、舞いを舞うかのように業を繰り出し、次々と足軽たちを薙ぎ払って行く。
その攻防を10分も行った辺りで馬上の武士は恐れをなして敗走した。
勿論、まだ意識のある足軽たちもその後を追い、その場には気を失った足軽と莱たちが残された。
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