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―フランス・パリ―
【コンコン】
「莱さま。本日のご予定ですが…」
いきなり部屋に入って来た男は部屋の主の返事も聞かずにそう話し出した。
「わかってる。今日は、美術館での刀の交渉だろ…」
部屋の中には年若い一人の青年がいた。
この青年、名を如月莱といい若くしていくつもの会社を任されている人物である。
「はい。そのとおりでございます」
莱の言葉に男は、誇らしげに笑ってそう言った。
「ハァ…なんで俺がそんなことを…」
莱は、ひどく億劫そうにあくびを噛み殺しながらそう呟いた。
「これも莱さまが如月グループを率いて行かれるために必要なことなのです」
男は、莱に言い聞かせるように丁寧な口調でそう言った。
「…強いては、主(あるじ)が為…か?」
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