如月莱という男

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「如月に仕える者たちは皆莱さまの潜在能力を見抜いているのです」 「潜在能力?」 「はい。莱さまは皆にひた隠しになっていらっしゃいますが皆莱さまの能力を存じております」 「!…何の事だ?」 莱は、一瞬だけ驚いた顔をしたがすぐに元の表情に戻しそう尋ねた。 「何故お隠しになられるのですか?」 「…」 「医師免許をお持ちなのも薬学の博士号をお持ちなのも存じております」 「な!?」 「クス…皆、莱さまのことは存じております。たとえ嫌いな面倒ごとでさえも貴方は仲間のためにと文句を言いながらもきちんとなさるんです」 「…別にそんなことは…」 莱は、恥ずかしいのか口ごもりながらそう言った。 「今もそうではありませんか…」 「え?…」 「貴方は大嫌いな面倒ごとである仕事を文句を言いながらもきちんとこなしていらっしゃる」 「…自分に任されたことにたいして中途半端なことはしたくないんだ…それだけだよ」 「そういうことにしておきましょうか…(けれど本当は頼られることを無下に断わることができないんですよね)」 男は、莱の言葉に口元に薄い苦笑を浮かべた。
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