だってあなたは、

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あれ?と思った時には遅く、いつの間にか背中が完全にソファにくっつき、天井が上に―― って、あれれ? 「何、してるの?」 「うん、ごめんね。」 「謝らなくていい、何をしているのかって聞いてるんだけど。」 「うん、ごめんね。」 …ダメだ、無限ループだ。 何を言ってもにこにこ笑いしか返ってこない。 彼の笑顔をこんなに胡散臭く感じたことがあっただろうか。 「要するに、俺の本気を分かってもらえればいいんだろ?」 そういうことじゃない、と言おうとしたら、覆いかぶさってきた彼の口の中に飲み込まれた。 しかも、それはくっついたままなかなか離れなかった。 むぐむぐと苦しげに口を動かすとようやく離されたが、今度はぎゅっと正面から抱きつかれた。 肩で息をする私は混乱する頭で考える。 今日の彼はどこかおかしい。言葉もそうだが行動も。 そりゃ仮にも恋人同士だったから、キスやその先の行為自体はしたことがあるが、こんな性急にイタすのは初めてで――って、うわ、もうシャツが半分剥かれてるっ!? なんつー早技だ、前世、追剥かこいつ! ――というか、『俺』?あれ一人称変わりました? 「好きだ。お前が好きだよ、――。」 そう言って口づけられるともう何がなんだかわかんなくなって、顔に熱が集中して熱くなって、ぼやっと頭上の彼を見ていることしかできなかった。 ハッと我に返って反論しようと口を開いても、もういいから黙って、とすぐに塞がれてしまう始末。 私は彼と別れ話をしに来たはず。もっといい女子を彼女にするべきって伝えてスッキリ後腐れなくバイバイする予定が…どうしてこうなったんだっけ? ぐるぐると考えている間も彼の手と唇の攻撃(?)は止まず、私は彼の技巧に翻弄されながら意識を飛ばしてしまった。 「離れるなんて、絶対許さないから。」 ―最後に聞いたのはそんな台詞だった気がするような、しないような。 翌朝、体の節々を走る鈍痛によって動けなくなった私を笑顔で介抱する彼が、 『会うのがそんなに面倒だったらここに一緒に住めばいいんじゃない?』 と冗談のような提案をし、何故かなし崩し的にそれが実現してしまうことになるとはーー今の私にはまだ知る由もなかった。 END
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