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「こんにちは!」
太郎はいきなり声をかけられ、びっくりした。
誰も居ない小道のはずだったのに、白いワンピースを着た少女が微笑んで立っていた。
「こ、こんにちは…」
太郎は急いで立ち去ろうとした。
何となく恥ずかしかったのだ。
「待って!子犬を探してるの。小さい柴犬。あなた、見なかった?」
「し、知らないよ。あんまり注意して見てないし…」
「そう…。何処行ったのかな?太郎…」
「え?」
「私の犬の名前。太郎って言うの。」
「や、やだな、何か。僕も太郎っていうんだ。」
「え!」
あははははは!
二人は笑った。
太郎はうちとけた気分になった。
「君の犬って、ここで迷子になったの?」
「うん。散歩してたら、一人でどっか行っちゃって。ずっと探してるの。」
「そっか…。この辺じゃ犬なんか見ないよ。まして柴犬なんて珍しいし。」
「そう…。何処行ったんだろう?太郎…」
太郎は不思議な感じに捕らわれて、少女を見た。
何か不思議な感じのする少女だった。
「ぼ、僕、塾があるからもう帰るよ。犬、見つかるといいね。」
「ありがとう。私、幽子。また会えたらいいわね。」
太郎は不思議な少女…幽子と別れた。
何か不思議な感じがつきまとった。
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