第一章

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「こんにちは!」 太郎はいきなり声をかけられ、びっくりした。 誰も居ない小道のはずだったのに、白いワンピースを着た少女が微笑んで立っていた。 「こ、こんにちは…」 太郎は急いで立ち去ろうとした。 何となく恥ずかしかったのだ。 「待って!子犬を探してるの。小さい柴犬。あなた、見なかった?」 「し、知らないよ。あんまり注意して見てないし…」 「そう…。何処行ったのかな?太郎…」 「え?」 「私の犬の名前。太郎って言うの。」 「や、やだな、何か。僕も太郎っていうんだ。」 「え!」 あははははは! 二人は笑った。 太郎はうちとけた気分になった。 「君の犬って、ここで迷子になったの?」 「うん。散歩してたら、一人でどっか行っちゃって。ずっと探してるの。」 「そっか…。この辺じゃ犬なんか見ないよ。まして柴犬なんて珍しいし。」 「そう…。何処行ったんだろう?太郎…」 太郎は不思議な感じに捕らわれて、少女を見た。 何か不思議な感じのする少女だった。 「ぼ、僕、塾があるからもう帰るよ。犬、見つかるといいね。」 「ありがとう。私、幽子。また会えたらいいわね。」 太郎は不思議な少女…幽子と別れた。 何か不思議な感じがつきまとった。
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