そーくんと私

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毎朝7時。 朝起きてからすぐ、私にはすることがあった。 タブレット端末を操作し、アドレス帳の登録名「そーくん」に電話をかける。 そーくんはすぐに出た。 「そーくん、おはよう」 『三十六秒遅い』 「なにそれ」 『7時ぴったりに電話してって言ったよね?』 受話器から聞こえる柔らかく甘い男の声。 寝起きとは思えないほどの饒舌。 そーくんは朝からそーくんだった。 「別にいいじゃん。数秒くらいなら」 『ゆんちゃんがいうその数秒のせいで僕が寝過ごしたらどうするの?もしかしたら家が火事になっててその数秒のせいで逃げ送れる可能性もある』 「ちゃんと起きてるし火事になってないじゃん」 『もしもの話だよ』 「もしもの時にいってよ、そういうのは」 むかついて、電話を切る。 するとすぐにピンポーンとインターホンが鳴り、もしやと思って玄関から出ればそこにはにこやかな顔をした上品な顔立ちの優男、もとい私の彼氏の千田奏太(センダソウタ)が立っていた。 この男はモーニングコールの意味を調べなおしたほうがいい。
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