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空気が5秒間くらい真空になった気がした。
「……かっ、カッコいいぜぇ~、アニキィ……」
ん?声に覇気がないぞ。
「……キャ、キャーッ……うちのリーダーさいこう~……」
若干ひいてないか?
「……私、約束通り、部活に入る」
須充はいつの間にか立ち上がって言った。
ていうか、涙目なんだけど。
見られたからか?
いやいや、悔しいからだよな?
「……よろしく」
須充から握手を求められたので応じた。
「よ、よろしく」
「田島くん、クレープ食べに行かない?」
「おっ!アネゴのおごりか!ラッキーィ!」
ん?
後ろで俺を除け者にして、なんか話してないか?
「こういうのは、男子がおごるんじゃないの?」
「悪い、アネゴ、俺、女にしかおごらないから」
「ぐはっ!」
「誰かに似てきたな、おい」
「あれ、おい、どこ行くんだよ!」
声をかけたのに、2人は俺を無視している。
「……私、先に帰る。じゃあね、リーダー」
須充は頬を赤らめ目線を合わせてくれない。
「えっ、あ、あぁ」
何か、大切なモノを失ったのかも知れないな。
『世の中の人は何とも言わば言え。わが成すことは我のみぞ知る。by坂本龍馬』
そういえば酒豪は坂本龍馬が好きなんだよな。
帰って、『劇場版仮面ランナー酒豪エピソード3~嫁と娘と隣のおばさん~』でも見るか。
今日、俺は酒豪のする事だけをしようと誓った。
ていうか足、痛いな。
もっとも1番、心が痛いけど。
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