許し

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夕日の中に消えていく、みんなの姿を見送って、少し沈んだ気持ちで教室に戻る。 ……それからが、大変だった。 教室に入るなり、怒り狂った希咲が、私に突進してきた。 なんでも、昼寝から起きたら、私がいなくなっていて、相当焦ったらしい。 「こっちは真剣に心配してたのに、あんなキラキラ軍団と一緒にいたなんて…」 と、めちゃくちゃ睨まれた。 「私より、あのキラキラ軍団をとるんだわ。」 と、嘆く希咲に そんなことない、希咲が一番だ と、散々言った挙げ句、 まだお兄ちゃん以外登録されていない、 新品の携帯に、“親友”とゆう項目で、希咲の名前を登録することで、 なんとか希咲のご機嫌を勝ち得て、 急いで帰宅した。 やばい、急がなきゃっ。 お兄ちゃんが帰ってきちゃう。 私のやらなきゃいけない事というのは、家事。 まぁそれ以外にも色々あるけど、 大方、これが理由。 いままで学校に行ってなかった私は、 1日の時間をのんびりと使って、家の家事をこなしてきた。 だけど、私も今日から学生。 今まで通りのペース配分では、到底1日分の家事は終わらない。 だからといって、お兄ちゃんに頼って、お兄ちゃんの負担を増やす気は、さらさらない。 だから、お兄ちゃんが帰ってくる前に、いつも通り全ての家事を、終わらせておく必要がある。 そのためには、学校が終わった後、寄り道なんかできない。 でもこれは、お兄ちゃんと一緒に住むと決まった時、 自分で決めたことだから、 家事だけは、私がしっかりやろうと そう決めたから、 だからたとえ、彼らや希咲の誘いを断ったとしても、これだけは譲れない。 いや、譲ったらいけないんだ。 これは、お兄ちゃんの自由を奪っている事への、 私のほんのちょっとの、罪滅ぼしなんだから。
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