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『お兄ちゃんのことだから、私に気を使ってくれたんだろうけど、
私、大丈夫だから。
むしろ、お兄ちゃんに彼女ができて、とっても嬉しいんだから。
だから、ね?お兄ちゃん、もう我慢しないで。
私は学校にいけて、幸せなのに、お兄ちゃんは我慢してるなんて、
そんなのいやだよ。』
「瑠羽…」
『お兄ちゃん、お兄ちゃんが私に縛られる必要なんて、どこにもない。
お兄ちゃんだって、普通の大学生みたいに、やりたいことやって、一緒にいたい人といていいんだよ。』
「瑠羽、俺は、瑠羽に縛られてるなんて、思ってないぞ。」
…どこまでも優しいお兄ちゃん。
『私が嫌なんだよ。お兄ちゃん、私、もう高校生なんだよ。
大丈夫だから。お兄ちゃんは、自分の時間を大切にして。ね?』
「瑠羽…」
今日、言おうと思ってた。
私が高校生になれる、今日。
私が家にずっといるままだったら、きっとお兄ちゃんは私に引け目を感じて、
私の言葉なんて聞いてくれないから、
だから今日、この日をずっと待ってた。
お兄ちゃんを、私から解放したくて。
せっかくできた、大切な人を大事にして欲しくて。
「瑠羽、ありがとう。」
だから、少し困ったように、複雑な表情を浮かべて、
だけど、フッと笑ったお兄ちゃんを見て、
何故だか涙がこぼれそうになった。
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