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そんなピリピリした雰囲気の中、
私はここにいない方が良いんじゃないかと思って
こっそり屋上を後にしようと思ったんだけど、
「瑠羽ちゃん。」
拓が私を呼ぶ声に引き止められた。
『…なに?』
重苦しい空気の中、口を開く。
この空気は、私に関係してるの?
疑問に思っていると、
「ちょっと、厄介な事になった。」
困ったように眉を歪めながら拓がそう言うもんだから、
ますます私は不安になった。
「瑠羽ちゃんが、蓮のケンカに遭遇したとき、その相手が黒蛇ってゆう族だったのは、覚えてる?」
『うん。』
「その黒蛇の連中が、瑠羽ちゃんの顔、見てたみたいなんだ。」
『えっ』
「それで、瑠羽ちゃんが、俺らの仲間だって、勘違いしたらしくて。」
『……。』
「もともと黒蛇は、俺らの関東一位の座を狙ってる奴らだから、
弱点になりそうな瑠羽ちゃんを、狙ってるらしいんだよ。」
『…私を?』
「ああ、瑠羽は女だしな。弱点を突いて崩す、汚ねぇが、黒蛇の上等手段だ。」
洸が顔を歪める。
「あれから奴ら、必死に瑠羽ちゃんを探したみたいで、
瑠羽ちゃんの顔も名前も、翔凛にいることも、全部情報が流れちゃってるみたいなんだ。」
「この分だと、黒蛇だけじゃなくて、他の族も、瑠羽を狙ってくる。」
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