許し

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私の知らない所で、そんなことになってたんだ…。 私が黙っていると、 「心配するな。おまえは俺達が守ってやる。」 低くてどこか安心する、蓮の声が聞こえた。 『え?』 その声に、反射的に顔を上げる。 「そうだよ、瑠羽ちゃん。もともとケンカをしてた蓮が原因だし、 瑠羽ちゃんは俺らのお気に入りだから、俺らが全力で守るよ。」 拓の言葉にみんなウンウンと頷く。 私…、また周りの人に迷惑かけてる…。 そんな自分に情けなくなって、また俯いてしまう。 「瑠羽ちゃん?」 そんな私に気づいたのか、俊が心配そうに聞いてくる。 『私…、いいよ。』 「え?」 『守ってもらわなくて、いい。みんなに迷惑かけたくない。 私がみんなと完全に離れれば、黒蛇の人達だって、勘違いに気づくだろうし。』 だから、いい。 みんなともうこうして会えないのは胸が痛むけど、 私のせいで、みんなに迷惑はかけられない。 大丈夫。諦めることは慣れてるから。 だから平気。 「…なに言ってんだ。」 俯く私の頭の上から、少し不機嫌そうな声で、蓮がそう言った。 『えっ…』 「離れるなんて、許さねぇぞ。 もうおまえは、俺らの仲間なんだ。 仲間を守るのは、当然の事だ。迷惑なんかじゃねぇ。」 『仲間…』 「そうだ。だからおまえは、素直に守られてろ。」
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