許し

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それから、あれよあれよという間に話は進んで、 学校の行き帰りを、みんなのうち誰かが、送ってくれることになった。 私は、歩いて20分だしいいよ、と断ったけど、 その間になにかあったらどうすんだっ と、洸に起こられたから、渋々頷いた。 そんな私を見て、 全然苦じゃないから、むしろ瑠羽ちゃんといる時間が増えて嬉しいよ と、優しい拓が言ってくれたけど、 本当に私にそこまでしてもらう価値があるのかと、 不思議に思った。 「本当なら、飛龍の溜まり場にきてくれるのが、一番安心なんだけど…」 『ごめんね。』 「え、あっ、いいんだよ。用事があるのは仕方がないんだし。」 『…うん。』 私のせいで迷惑かけてるのに、私の都合に全部あわせてもらって、 私って本当に… そう思って俯くと、 ビシッ 『いだっ』 おでこに鈍い衝撃が走る。 『?』 なんだ?と思って上を向くと、 蓮が私にテコピンをくらわせたんだとわかった。 「俯くな。何度もいってるが、誰も迷惑なんて思っちゃいねぇ。」 蓮には私の思ってることが、わかるんだろうか。 いつも、絶妙なタイミングでフォローをくれる。 『ありがとう。』 ごめん。って言うのは、なんか違う気がして、 ありがとう、にした。 そんな私にみんな笑いかけてくれる。 やっぱり、みんな大好きだなぁ…
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