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『希咲っ、もういいから。』
私が間に入っていくと、
「あれ~瑠羽ちゃん。鬼蝶さんの友達なの?」
拓がちょっと驚いたように聞いてくる。
『うん、親友。』
私の言葉に、希咲の口元が、ニヤッと上がったのがわかった。
おい、希咲。
希咲が掴んでいた蓮の制服から手を放し、
「おい、瑠羽をちょっとでも傷付けてみろ、
てめぇらのキラキラフェイスを二度と拝めないように、ボッコボコにしてやる。」
と、総長さまに向かって言い放つ。
「上等だ。」
蓮が希咲の睨みに全く動じずに、ニヤリと不敵に笑ってそう言い放つ。
さすが総長。
私が希咲にあの目で睨まれたら、びびり上がっちゃう所なのに。
蓮の言葉とその顔に、不覚にもドキッとしてしまった。
「けっ。」
蓮の反応が気にくわなかったのか、希咲は瑠羽を頼んだよっ、と言って、帰ってしまった。
ありがとね、希咲。
希咲の後ろ姿を見つめていると、
「じゃあ、瑠羽ちゃん、帰ろうか。今日は蓮が送ってくれるから。」
『うん。…って、えっ!!総長さま直々ですかっ!』
まさかの蓮指名で、びっくりした。
「んだよ。文句あんのか?」
蓮がムスッと聞いてくる。
『いやいや、だって、蓮総長なのに、いいの?』
「いいんだよ。」
ほ、本当にかぁ?
「プッ、ま、そうゆうことだから、瑠羽ちゃん。また明日。」
『あったまた明日っ。』
颯爽と帰っていく拓達に、慌ててさよならを言う。
「帰んぞ。」
『あ、うん。』
私は慌ててカバンを教室に取りにいき、蓮の所に戻る。
「ん。」
蓮は私が来たのを確認すると、手を差し出してくる。
『?』
「カバン。」
…どうやらカバンを持ってくれるらしい。
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