許し

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『うぇぇっ、いいよ、自分でもてるからっ』 総長さまに送らせて、挙げ句カバンもたせて、 一体私は何者じゃあ!! 殿様かっ!?殿様なのかっ!? プチパニック中の私なんかお構いなしに、 「いいから、かせ。」 と言って、ヒョイッと私からカバンとると、その高い肩にかけた。 うぅ、届かないじゃんか…。 ちょっとブーたれて、蓮の横を歩くと、 『変なカオ。』 と、蓮に笑われた。 さっきまで、あんなに黄色い歓声に包まれていた廊下は、 希咲が騒いだからかなんなのか、 今はスッゴい静かで、蓮と私の足音だけが響いてる。 お互い言葉は交わさなかったけど、 不思議と気まずいとは思わなかった。 『あれ、蓮、どこいくの?』 校舎から出た蓮は、校門とは違う方向に歩いていく。 「こっち。」 言われるまま、蓮の後についていくと、そこは駐輪場。 もしかして、まさかの自転車!? 蓮が自転車乗るとか、想像できないんですけどっ!! 蓮がママチャリに乗っているところを想像して、思わず吹き出してしまった、失礼な私。 でも、そんな私の想像は、軽ーく裏切られることになる。 『…蓮、これって…』 うん。そうだよね。蓮がママチャリなんかに乗るわけないよね。 「バイク。」 うわー。きました、バイク。 見たまんまを答えてくれる蓮に、ムリムリと視線を送る。 私、生まれてこのかた、バイクなんて、乗ったことないからっ!
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