明日のそら 前編

許し

「大丈夫だ。安全運転にするから。」

そう言うと、私にヘルメットをポイッと投げて、バイクにまたがる蓮。

『えっ、あれっ？』

初めてのヘルメットに、どうつければいいか戸惑う私に、

「何やってんだよ。」

と、フッと笑ってバイクから降り、ヘルメットをつけてくれる。

『あ、ありがとう。』

意外と至近距離だったことに、赤面しながらそう言うと、

蓮がじーっとコッチを見てくる。

「乗れねぇか…」

そう呟くと、蓮は私の両脇にグイッと手を入れて、そのまま私を持ち上げた。

『っ!?』

いきなりのことに、びっくりする。

気がついたら、私はバイクにちょこんと乗せられていた。

「おまえの身長じゃ、バイクに届かなかっただろ。」

そう言って、悪戯っぽく笑う蓮。

失礼な、と思ったけど、私の身長を考えたら、確かに乗れなかっただろう。

そうゆう細かい所に気づく蓮ってすごい。

多分、私の考えが読めるのも、それほど人の気持ちに敏感で、よく見ているんだろう。

蓮はすごい。

「いくぞ。腰に手回して、しっかり捕まっとけ。」

そう言って、私の手を掴んで、自分の腰にまわさせる。

蓮の腰にまきついたことで、蓮との距離が急激に近くなり、顔が熱くなる。

うわ～、な、なんか恥ずかしい。