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『れ、蓮。』
「ん?」
『私、バイク初めてで、だからその、ちょっと怖い。』
「ゆっくりいくから。安心しろ。」
なんか蓮がそうゆうと、本当に安心できるから、不思議。
蓮は私の中で不思議人だな。
私を乗せたバイクは、ゆっくりと発進した。
初めてのバイクは、ちょっと怖かったけど、蓮の言葉通り、スッゴく安全運転で、
頬をかすめていく風と、
蓮から香る、優しいシトラスの香りに、
なんだか心が穏やかになって、
家までは、あっという間で、
私はいつの間にか目をつぶっていたから、家に着いたことに気がつかなかった。
……それがいけなかった。
「おい、着いたぞ。」
蓮のその言葉に、ハッとなって目を開ける。
よくよく考えたら、なんで私の住所知ってるんだって思ったけど、あえて突っ込まなかった。
『ありがと。』
「ん。」
そのまま、蓮を見送ろうと思ってなのに、
アクシデントが発生した。
それを告げたのは、
「…瑠羽?」
ちょっと訝しげに発せられた、よく聞き慣れた声。
まさか、
と思って、恐る恐る振り向くと、
そこには、道の角から、コッチをものすごい顔で睨んでいる、お兄ちゃんがいた。
お、終わった…
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