双子の入学準備

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「夢より閻魔」  冥界の王たる閻魔様が本当に存在するとして、さて僕は死後の世界でどのような裁きを受けるのだろうか。天国と地獄、どちらへ連れていかれるのだろうか。  あくまで仮定の話であり、死後の世界を信じているわけではない。ただ、僕という小さな存在を閻魔様という大きな目から見たとき、一体どういう評価がなされるのか、それを知りたいと思った。  他人の評価には常に主観がつきまとう。それはきっと、閻魔様でも変わらないだろう。  そんな事を夢の中で考えていた僕は、あまり寝覚めが良かったとは言えない。布団の上で半身を起こし、部屋を見回してみた。特に何もない。目覚まし時計が机の上で不快な音を鳴らし部屋中に響かせているのに気づいたが、わざと止めずに放置して寝ぼけた自分の頭を少しでも覚醒させる。  夢の中では結論が出ていたはずなのだが、起きた途端忘れてしまった。まあ、それはよくあることなので構わないが。ただ何故そんな益体の無いことをわざわざ夢の中で考えていたのかが疑問である。予知夢とかじゃないよな。この歳で死ぬなんて冗談じゃない。  せめてもう十年は生かしてもらわないと。  バタンッという大きな音がして部屋の扉が開く。現れたのは双子の姉。不機嫌そうな表情を顔に貼り付けてズカズカと部屋に踏み入り、目覚まし時計のアラームを叩くようにして止めて、ジェスチャーで「休日に目覚ましをセットするな」を表現してから部屋を出ていった。面白い姉である。  全く、あの姉は。休日でも時間を決めて起床しないと休み明けに苦労するって何度も言ってるのに。入学式に遅刻したらどうするつもりなんだ。  しかし、眼鏡も掛けてない眠そうな顔の姉を思い出して、閻魔様からどのような判決を言い渡されるにしろ姉と一緒がいいな、と思った。
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