前編

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僕は自分のための城をつくった。 城の窓からは、人々が行き交う姿が見えた。 "はははっ。 人が小さな麦粒みたいだ。 ほら、見てごらんよ!" 振り返っても、誰もいない。 幼い頃からずっと同じ。 僕はずっと独りだ。 "はは、は…。 ……大丈夫。僕は、独りでなんだってできる。 そうさ、なんだってできる。" 絶対に、扉は開くもんか。 これは今まで独りだった、幼い僕のプライド。
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