府中刑務所

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びっくり箱の中で手渡された薄汚い受刑服に着替える。いよいよ府中の住人だ。四年という長い時間をこんなところで生活するかと思うとへこむが今さらどうにもなるわけじゃないしと腹をくくり気持ちを切り替える。さっきまで各自、顔を会わさないように隔離されていたのに今度は五人並ばされ大きな声で番号、名前、生年月日、罪名、刑の満期日を言わされる。ここで笑ってしまうのがイカツイ顔をしたいかにも不良というやつが何を盗んだか知らないが窃盗罪で、一年そこらの刑でおとなしそうな、いかにも下着泥棒かストーカー見たいなやつが強盗傷害で8年だったり…人は見掛けによらぬものと改めて思わされる。世の中そんなものかも知れない。
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