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クラスメイトと軽く挨拶を交わし、部活にも所属していない俺は図書室に向かった。 廊下を歩いていれば、数メートル先には、肩につくくらいの焦げ茶色の髪の、大人し目な雰囲気の小柄な子がいた。 (あの子だ……) 彼女は心成しか焦っているようで、小走りしている。 俺のクラスもそうだが、HRが長引いてしまった所為で委員会の仕事に遅れないよう急いでいるのだろう。 律儀な、彼女らしい行動に、微笑ましい想いで満たされる。 2学期に入り、3年生は本格的に受験勉強の態勢になって、図書室の席取り合戦が始まったので、早く開けないと上級生を待たす事になってしまう。 勿論、個別ブースの自習室も完備されているが、グループで勉強会をやるなら図書室の大机が人気だ。 また、ソファーや小机も設置されていて、本を読むだけの生徒にもきちんと配慮してくれるのは、流石この学院、と言ったところ。
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