5/14
前へ
/32ページ
次へ
芸術の選択科目は、もちろん美術。 きっと彼女も取っている筈だと思ったし、兄貴程では無いが俺だってある程度ならやれる。 そして遂に、思惑通り対面する事が出来たのだ。 あんな原色でダイナミックに絵を描く人だ、きっと意志や気が強そうな感じだろう、想像していた。 …が、実際の彼女はパステルカラーが似合いそうな、物静かな子だった。 ギャップが激しくて、同姓同名の人違いか、とも思ったが 先生がその子の受賞した絵を紹介していたから、同一人物なのだろう。 紹介を受けた彼女は恥ずかしそうに"ありがとうございます"と言うと、皆に向かってぺこりと頭を下げた。 尊敬していた人がイメージと全く違っていたが、別に残念には思わなかった。 寧ろ、"普通の"女子高生でどこか安心したような気がする。 初めて絵を見た時は感動したが 実際に彼女に会って、素直に可愛いな。と感じ、ホッと温かい気持ちになった。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加