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「一気にこんなにも持ったら危ないじゃん。
落としたらどーすんの」
ここで"大丈夫?"とか言えたら良かったのに。
今日もきっと彼女と関わる事なく終わるものだと思っていたから、予想外に接点を持つ事に内心焦ってしまった。
これじゃ、彼女を責めるような口ぶりだ。
「そ…だよね。
ごめんなさい、手伝わせちゃって。
重いと思うから、そこの小テーブルに置いてくれればいいよ」
ほら、俯かせちゃって。
彼女を罪悪感に浸らせてどうする?
と言う自己嫌悪と。
っていうか、重いからって……。
自分はそれ以上の本を運んでたのに、男の俺に気ぃ使ってんなよ。
と言う苛立ちで、つい舌打ちするところだった。
そんな事したら、益々畏縮させてしまうだろう。
とりあえず感情を落ち着かせる為に、はぁーっと溜息を吐いた。
「他の生徒は?
お前、1人でやってんの?」
確か、係は2人組でやるはず。
なのにもう1人は始めから見当たらない。
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