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どうやら例の絵が描かれているであろうスケッチブックを急いでカバンに押し込めているようだ。 その動作が可愛くて、笑ったのがいけなかった。 零れた一瞬の笑い声が彼女の耳に届いたらしく、再びしかめっ面をこちらに向けてくる。 そんな彼女に俺は軽く手を振ってやったら 瞬く間に顔が茹でダコみたいになって、そっぽを向いてしまった。 そして腕で顔を隠すようにして、机に突っ伏した。 ほんっと、やる事がいちいち可愛いな。と思ってしまう俺は、相当ヤバイかもしれない。 そうは思いつつも、やっぱり顔全体が緩んでしまうのは仕方の無い事。 本で顔をガードしながら、堪えきれない笑いを咬み殺すのに必死だった。 他の生徒たちはどうせ勉強に集中しているから、俺たちの事なんて眼中に無いだろう。 なんて考えては、まるで2人だけの世界に思えて。 ここまでの思考に至ると、さすがにアブナイ気がするけど。 それでも、今日こんなに彼女と接点を持てたという事で、いつもは学校の雰囲気をピリピリさせる受験シーズンも有りだと感じた。 もう片方の係も受験生で良かった(現金でごめんなさい)。
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