放課後ノスタルジー

Ⅰ

カタン。

誰も居ない教室、私は窓際の一番後ろの席に座ってみる。

いつもは彼が座っている場所。

校庭からは、野球部の野太い掛け声や、テニスボールの跳ね返る音、陸上部のコーチが怒鳴り、サッカー部への黄色い声援が聴こえてくる。

そして風がウインドオーケストラ部の演奏を教室内へと運びこむ。

目を上に向ければ、太陽が傾きかけて

空を綺麗なグラデーションに染め上げていた。

彼はこうして、景色を見ているのかな。

授業中もどこかボンヤリとして外を見ている貴方。

同じ景色を知りたくて、思わず座ってしまったの。