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席を立ち、鞄を持って帰ろうとしたが
ふと思い出して美術室へ寄る事にした。
描き途中の、未完成な絵は
来月に行われる美術部の先生の個展に出展するものだけど。
正直、筆が進まなくて思うように表せない。
部活も休みがちだが、元々活動自体が個人活動で自由参加に近い形なので、そこまで不安視していない。
気になるのは、先生だ。
先生ならきっと、私の取り組みに対して違和感を持っているだろう。
私の描いている作品、哀愁漂う秋の夕暮れの絵は、時期的にも合っている。
けれど、今まで描いてきた絵は全て躍動的で生命力のある作風だった。
多分それは、普段喋らない私を表現出来る唯一の方法だから。
私が、私として恥ずかしがらずにアピールしようと思うのは、絵を描くことくらい。
今回の、"私の分身"は。
いつもみたいなダイナミックで印象的な絵じゃなくて、
ただただ、静寂を守る淋しげな夕時の風景画。
様々な感情が入り混じって
深い、深い藍になり
そして現れたのは"孤独"。
その私らしくない仕様の作品は、
あまりにも私の心を映し出していた。
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