-退学-

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「嘘、ですよ。全部」 事実なんて、知らなくていい。 結局、事態は変わらないのだから。 周りに迷惑はかけたくない。 「本当に、さよなら。」 これ以上ここに居れば、振り返り、煉夜さんに抱きついて泣いてしまいそうだったから 今度こそ、私は煉夜さんの腕から抜けて 歩みをすすめた。 ごめんなさい、煉夜さん。 こんな選択をして、クレハは笑うかな。 いや、 もう笑ってさえくれないだろう。 本当に、私は何をしに来たんだろう。 全てをなくす為じゃ、ないはずなのに。 色んなものを犠牲にして 私は一体、何を手に入れただろう。 帽子を深く被りなおして、 私は俯き、早足で歩き出した。 .
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