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「何処行くんだ?大和撫子」
曲がり角に、まるでここを通過する事が分かっていたかのように
会長…凌央様が立っていた。
私はピタリと、目を見開いて立ち止まる。
通路を塞ぐように立っているのは、会長と、それを挟むように立つケイとサトシ。
「凌央様…私……」
帽子を慌てて脱いで、言葉を探す。
「お前は本当に馬鹿だな」
「!」
会長が荒々しい言葉を吐いたことに、驚いて一時停止する。
「「今更なことだけどね」」
「ケイ…サトシ…」
「もっとさ、頼れば?」
「俺達、仲間でしょ?」
「でも…」
手を組んでから、始めて知った。
葉苫に逆らうことは、
人生を荒波の海へ投げ込むようなものなのだ。
「「俺達、ロイヤル・クラウンの後継者だよ?」」
「裃財閥と、ロイヤル・クラウンで手を組んだ。」
目を見開かせて三人を交互に見比べる。
三人共、口元に笑みを浮かべている。
「手間がかかったけど」
「葉苫から権利を応酬した」
その手に持っている書類の内容は、読まなくても分かる。
信じられない思いで会長の方を見ると、
「帰って来い、大和撫子」
今まで見たことがないくらいの笑顔で、私に手を伸ばしてくれた。
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