大切な人

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「リー!」 振り返ると、兄が手を振っていた。 「学校、終わったの?」 「うん」 「じゃ、一緒に帰ろう」 何気なくつながれた手にドキドキしている。 きっと鈍感なベム兄は、これっぽっちもドキドキしてないだろう。 私…リーとベム兄は家が近く、いつも一緒に遊んでた。 年が八才も離れているけど、私はベムが…好き。 ゆったり歩いていたベム兄が、隣の私を見た。 「…じゃ、また明日」 するり、と手が離れた。 「…また明日」 小さな声で言った。 まだ暖かい手を、胸にあてた。 家に向かうベムの肩に桜の花びらが乗っている。 ……声をかけるには、今がチャンス。
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