第1話 八雲と明日菜!

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あまり良く見えなかったが、彼女が向いている方向や、その他諸々から彼女の頬をねらい、人差し指を突き刺してみた。 パクッ そんな効果音と共に彼女が僕の指をくわえていた。 「何してるんですか!?」 「あなふぁこふぉ、まみしようとしてたふぁのよ」 くわえたまま彼女は喋るので、変に聞こえて、笑ってしまう。 「何なのよ!」 彼女は口から指を抜くと、少し恥ずかしそうに僕を見つめながら、口を膨らませながら言った。 (暗いので、想像です!) 「なんでもないよ」 僕は少し、彼女の口の暖かさを惜しんでいた。 「イヤらしい顔…」 いきなり何を言い出すんだ? 「顔なんて見えないだろ?」 「見えるもん!」 たいしたものだ… 真っ暗闇の中で、僕の顔が見えるなんて、猫くらいなものだ。 「どうやってだよ?」 「…心の目でよ!」 … … 「何か言いなさいよ…」 「どう見える?」 「えっ…?」 少し疑問に思った… 真っ暗闇の中、男女が二人で密室の中にいるんだ… 何かあるのかも知れない… 「君の心の目では、僕はどう見える?」 … う~ん… と彼女は唸りながら、結論を出した。 「変な男の子!」 何も考えてないただの女の子のようだ… 「僕には、変な女の子に見えるよ」 「なんですって!!」 ぷっ…あはは …クスクス… 両方とも同時に笑いだし、疲れるまで笑っていた。 「もうこんな時間!早く帰らなくちゃ」 「送って行こうか?」 「大丈夫…またね…八雲君」 「嗚呼…またな…明日菜」 それが、僕と彼女の出会いであった。
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