夢落ちだと思いたかった

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口に入れた瞬間に広がる仄かな、それでいて圧倒的な存在感を放つほんのりとした優しい甘さ。 だが、噛んだ瞬間に炭酸のようなシュワシュワ弾けるような泡と共に軽くむせそうになるくらいの酸味が口を満たし、思わずもう一度噛む。 すると、さきほどの酸味は嘘の様に引き、この世の物とは思えないほどの甘さが広がる。 思わず一瞬で全ての歯が虫歯になるのでは?と、真剣に考えるほどの甘さだった。 さらに噛むと今度は苦味、辛味までもが滲み出てきて、その全ての味が俺を魅了した。 噛んだ感触はつきたての餅のように柔らかく、噛めば噛むほど普通は食感が変わってくるものだが、何故かそれは食感があまり変わらず俺はその時間を充分に楽しんだ……。
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