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月明かりに照らされ流れる川面の青白い紫に緋色を垂れ流したような朝焼けの色。
私はそれを眺める好きだ。先日の冒険で手に入れた古代の遺物である書物は今私の手中にあった。
それは苦難の末手に入れた逸品の一つだが貴重な禁呪の類ではなく、魔導研究で派生した公式の一端か、その研究自体の日誌である可能性が高かった。
売却したとしてもそれ程価値があるものではないだろうが、私はこうした同じ道を歩んだ先人の研究に臨む姿勢や苦悩や喜びを読み解く事に喜びを感じていた。
幾重にも魔法で封印されていた皮の装丁は、恐るべきものを封印しているからではなく、単に劣化を抑える為の品質保持の魔術だ。
時には魔導書とはっきり分かる書物より研究日誌や個人の手記に重要な呪術の秘密が隠されている事もあり、その時は大当りを引いたと喜ぶ事が出来る。
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