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そして私はリアン。
ハーフエルフのウォーロックで精霊巡礼を100年程前に終え四大精霊に謁見、精霊魔術を修了。今はハイエンシェントスペルの一つ、紋章魔術を習得中だ。
ハイエルフの父親が私に遺したのは魔力と無駄に長い寿命、それに人間やエルフからの差別や排斥である。父親は仲間達にエルフの村に母を迎え入れる事はおろか結婚自体を反対されるとあっさり母と別れてしまった。
人間の母親は勿論遥か昔に亡くなったが、彼女は実にあっけらかんとしたサバサバした性格で一度も父親に対し怨み事を言うようなことは無かった。
私達親子に金は無かったが、母親は私に不屈の闘志と人を怨んで生きることのないようにとの教訓、それにエルフにはない強い肉体を遺した。
これまでの人生苦労はしたが、私には生れついての傍観癖がありそれは自分自身にも適用されたようで、何かあっても他人事のように遠くから眺めるような感覚でさほど強いショックを受ける事なく、のらりくらりと好きなことをして生きながらえ今に至る。
私の興味は知識の追求にのみ費やされた。何でも良かった。とにかく本を読みあさった。
そんな私が魔術や精霊術に魅了されるのに時間は掛からなかった。
魔術の類いは単に私の趣味の一つだったが、それを生かして生計を立てたり王宮で働くなどはまっぴらだ。
一人で各地を漫遊する旅をし、時には古代迷宮に降りて魔術書を探したりもした。自分には必要のない遺物を売り渡しては生活の糧を得て、その過程で価値ある封印されたスペルなどとは無縁の内容の[古代の書物]を集める趣味が芽生えたのである。
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