*01*

3/12
9人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
「なに、たそがれてんの?」 「暑いのによくやるなーと思って。和馬部活は?」 「え?あ、あーいいんだよ。俺天才だから」 しどろもどろな和馬。 「さぼり?」 「補習。俺らの担任なにかと補習させたがるんだよなー」 スタスタとあたしの隣にくる和馬。 和馬は二年生。家も近所で小学校から可愛がってくれている。お兄ちゃん的存在。 「由香里は相変わらず可愛いね」 ニコニコしながらさりげなくあたしの頭をなでなで。 誰とでもすぐ友達になれる和馬。人見知りのあたしはすごく羨ましいと思う。 「そーやって何人の女の子虜にしてきたのー?」 嫌みたっぷりに言ったつもりがヘラヘラと笑う和馬。 「由香里は彼氏作んないの?」 「和馬だって特定の子作んないじゃん」 「俺の本命は由香里ちゃんだから」 目をキラキラさせながら軽く言う和馬。 女の子は和馬のそういうとこに騙されるんだよ。 「はいはい、冗談はいいから」 「おい、和馬」 廊下から和馬を呼ぶ声。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!