月の光が墜ちる

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ある夜、三成は自分の部屋へふらりとやってきては、言葉少なく 包帯だらけの己の身に顔を埋め泣いた 何度も「家康」と憎悪を孕ませることなくだ まだ人の温もりとやらを、 敏感に感じ取る事ができていた肌は、三成の涙が包帯に沁みて肌を濡らしていくのを、 何も言葉が出ぬまま自分は見ていた ぬしは徳川が憎いのであろう? それは、 その涙は違う 三成、 それは恋情故の涙ではあらぬのか
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