猛暑の一室にて

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 が、入れるものの、そのアイスの膨張は一向に気配がない。  のみならず、どうも膨れるのが早くなっていっているようにも見える。アイスの膨張が加速してゆくのをみて、さすがに、これ以上増えてもらっても困ると眉をひそめるものの、増えるものは仕方がないので、食器棚から食器をいくつか持ってきて、そこにアイスを分けて入れてみた。が、その分けられたアイスが片っ端から、とめどなく膨れだす。どういったことなのだと私は驚くが、そうこうしている間に、アイスはまたこぼれ出す。こぼれるのを見ると、体は反射的に食器を運ぶ。  そのとき、私は、どうしようもなく困り果てていた。が、困惑するものの、アイスが増え続けるものだから、あれこれ考える間もなく、私の体は食器棚と膨張するアイスの間を幾度と往復する。
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