一話

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「いいじゃん。だって僕たちずっと一緒だったんだから!!」 さらりと笑顔で答える悠を見ると、なんだか気だ抜けてしまう自分がいた。 私だって、別に悠と一緒に登校するのは嫌ではない。 むしろ、この時間が楽しいと思えるほどだ。 でも・・・学校に近付くほどその気持ちは薄れ、だんだん憂鬱になっていく。 なぜなら・・・。 「あっ悠君!!おはよう!!」 「悠君だ~!今日もかわいいね!!」 原因はこれ。 学校に入った瞬間、悠は複数の女子に囲まれる。 当然、私の居場所はなくなる。 さっきまで私がいた場所には、ほかの女子が立っていた。 わかっている。 私は悠の幼馴染だから仲がいい。 ただ幼馴染だから・・・。 そんなことわかっているのに、心のどこかにはやっぱりもやもやがあった。 私は悠に気付かれないように、女子の集団をくぐりぬけて一人で教室に向かった。
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