一話

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「あっ涼ちゃん!先に行ってたの~?ひどいよ、おいてくなんて!!」 いくら悠にばれずに来れても、結局は気づかれてしまう。 なぜなら私たちは同じクラスだから。 「あー。ごめんごめん。」 「何その棒読みっぷり!!もぉ~、明日はおいてかないでよ!!」 「わかったよ・・・。」 そんなこと言ったって・・・あそこに私の居場所はない。 悠は気にしてないふりをしてるけど・・・やっぱり本人も薄々感じているらしい。 だから私に気を使ってくれているかもしれないけど。 いつか私たちの関係はなくなっていくかもしれない。 そんなことは私だって薄々感じている。 でも・・・だからこそ私は今、この時間を大切にしていきたい。 「あっそうだ。ねぇ、悠。」 私が突然黙ってしまったせいか、どこか寂しそうな悠だったが、私が呼びかけた瞬間笑顔で飛びついた。 「なになに!!」 「あのさ・・・」 「うん!!」 「宿題見せて!!」 「・・・え?」 「いや~すっかり忘れてて・・・。」 「宿題は自分でやんなきゃだめなんだよ!!」 「いいじゃん、別に。ね!お願い!!」 「仕方ないな・・・。」 うん。いいんだ、このままの関係で。
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