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Jackでディナーを楽しんだ後、正俊さんが
私を車に乗せて海沿いを走った。
黒く艶やかな線が海を縁取る。
私は窓から顔を出して風を受けた。
すると、
隣で正俊さんが鼻で笑った。
「なに?どっか、おかしいかな」
「や、別に。…なんか実感ないなぁ、って思ったわけ」
前を見ながら運転する正俊さんと私との会話。
後ろの席は
誰も乗っていない、二人だけの秘密の会話。
嬉しいようで、怖いと感じる
「まやと付き合ってんのね、俺」
クスクスと楽しそうに笑いを噛み締めている。
「うん…でもさ、あたしも実感沸かないかも」
振り替えられるのが恥ずかしくて、
私は膝とにらめっこしながら手を組み始めた。
「は、一緒じゃん。…まぁ、何はともあれこれからよろしく」
「こちらこそ」
ぺこりと頭を下げた。
すると、正俊さんがこちらを振り返った。
赤信号で止まった車は、
一旦助手席側に傾いてから走り出した。
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