苦酢

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今朝から正俊さんの様子がおかしい。 話しかけても大した返事が返ってこない。 「ちょっと、まさ」 「うん?……うー………ん」 こんな感じだ。 携帯を見やってはため息ばかり。 思い切って身を乗り出し 正俊さんの携帯をのぞき込んでみる。 「急に取引先の方が拒否を申し出てきました。お休みのところ大変申し訳ないですが会社までいらして下さい」 という文面だ。 貴重な休みに仕事が入ってしまうのは仕方ないが 今の正俊さんを見るといささか見苦しく感じる。 「あんねぇ、まさ」 声のトーンを変えてみると案の定振り向いてくれた。 「ん、何?」 「仕方がないじゃない。今日は仕事だけどまた休みあるでしょ?行ってきたら?」 「あ………でもさ、まやといる時間なくなるんだよ。 休みも滅多にとれないし、早く帰れても下が飲み連れてけってうるさいし」 「いいじゃん。また必ず休みはあるでしょ?毎日飲みに誘われるわけじゃないでしょ」 「そうだけど…。」 膝に視線を落とした正俊さんは手を組み始めて黙り込んだ。 あれ?
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