苦酢

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正俊さんの自宅は高級マンションで、5Fにあった。 気づけば私はマンションのエントランスでソファに座りこんでいた。 「何してんだろ」 マンションを後にして近くのコンビニに行って10円ガムを一つ買う。 コーラの味が舌に刺激を与える。 急に子供ぶって。 あたしはそれが気に食わなかっただけだ。 なのにそこまでして正俊さんから逃げたかった理由は分からなかった。 ・・・バカじゃん。 あたしのほうが子供っぽい。 腹立てて、 イライラしたら他人にあたってしまいには勝手に出ていく。 ほんと、情けない。 ひたすら噛み続けること20分。 携帯が鳴った。 マナーモードに設定していなかったようだ。 「あ」 そこには正俊さんからのメールがあった。 『Title:さっきはごめん。本文:今から仕事いくので鍵取りに来てください』 とあった。 気を取り直して返信画面を開く。 『わかった。ごめんね』 とりあえず今のところ文章的にはこの長さしか書けない。 帰ったらごめんって言おう。
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