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帰り着いてから
ベッドに勢いよくダイブした。
「はー………」
きも、ち、……いい
このまま寝ようとしていた時。
「ブー…ブー」
と振動を始めたそれ。
何事かと思って見やると、
画面には
安瀬の名字があった。
「あ、まさとしさん」
着信だった。
急いで受話器マークをタップして
耳に押し当てた。
「も……もォしもし!」
『あ、まやちゃん。夜遅くにごめん!…寝てた?』
やばっ
牛になった!
正俊さんがフフ、と
受話器越しに笑った。
「…うーん、まぁ。スカッと。」
『素直なようで』
「ん」
ゴシゴシ目を擦りながら直立。
間を置いて、
正俊さんが喋り出した。
『あのさ。一昨日のことなんだけど』
「あ……はい。」
『今言っちゃおうか、明日言っちゃおうかで中途半端なまま電話した』
「………それって、」
どういうこと?
『あ、これは言い訳か』
すかさず正俊さんは
言葉を紡いだ。
なんだろ。
今電話してくるなら、
いってほしい。
勿体ぶって
明日ごめんなさいは
最低だと思いますよ、正俊さん。
「あの、正俊さん」
『何?』
「今電話したのなら、返事下さい。明日に持ち越してごめんなさいとかだった
ら切ります。」
我ながら大きく踏み込んだつもりだ。
付き合えないなら
はっきりしてもらいたい。
可愛い雑貨を見かけた時に
数時間悩んだ挙げ句
買わないのと同じような気がする。
正俊さんはしばらく黙り込んだ。
それから
大きく息を吸い込んで
『まやちゃん。………いや、篠村まやさん。』
「はい」
『バイト先で会った時から好きでした。』
「はい」
『メールが楽しみでした』
「はい」
『買い物行った時とか二人で何かした時、幸せでした。』
「はい」
『こんなに楽しいと思えたのは、誰かを愛したいと思えたのは』
「……………」
『あ、』
『あなたでした』
「………。」
わー、きた。
『だから、というのは強引ですので』
『これからお互いを知って沢山の思い出を作って行きたいと思っています。』
『つきあって………下さい。』
正俊さんがどれほど緊張しながら話していたのかは
電話越しでもはっきりとわかる。
「……………………」
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