プロローグ

2/4
8665人が本棚に入れています
本棚に追加
/555ページ
──ぼんやり灯るホテルのベッドライト。 ツインルームのベッドの上にあたしは、いる。 いつもは邪魔で、くるくるとまとめている長い髪。 だけど今日は、どんな顔をしたらいいのかわからないあたしの顔を、上手に隠してくれている。 その髪を優しく払いのける彼の手が、微かに肌に触れて。 あたしの身体をピクンと跳ねさせる。 くすっ。 背中越しに笑った声が聞こえたような気がした。 その顔が見たい──。 そう思った途端、肩を掴まれ仰向けにさせられて。 肩肘をついた彼と視線が絡む。 なんだ。つまんない。 相変わらずの無愛想。 もっと笑ってくれたらいいのに…… なんて自分勝手に思う。
/555ページ

最初のコメントを投稿しよう!