8665人が本棚に入れています
本棚に追加
/555ページ
──ぼんやり灯るホテルのベッドライト。
ツインルームのベッドの上にあたしは、いる。
いつもは邪魔で、くるくるとまとめている長い髪。
だけど今日は、どんな顔をしたらいいのかわからないあたしの顔を、上手に隠してくれている。
その髪を優しく払いのける彼の手が、微かに肌に触れて。
あたしの身体をピクンと跳ねさせる。
くすっ。
背中越しに笑った声が聞こえたような気がした。
その顔が見たい──。
そう思った途端、肩を掴まれ仰向けにさせられて。
肩肘をついた彼と視線が絡む。
なんだ。つまんない。
相変わらずの無愛想。
もっと笑ってくれたらいいのに……
なんて自分勝手に思う。
最初のコメントを投稿しよう!