プロローグ

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だから、あたしも眉間に皺を寄せてやった。 あぁ。 前戯ってどのくらい時間をかけるんだっけ? もどかしくて、久しぶりの行為に気持ちが急ぐ。 なのに彼の唇は、ゆっくりあたしの肌を這う。 目を閉じて噛みしめていたはずのあたしの唇からは、いつのまにか甘い声が漏れはじめて。 人の身体は不思議なもので、手順ってモノを覚えてる。 相手が何人変わったって、行為はかわらない。 あたしはゆっくりと探るように下ろした指で、彼を確かめる。 ゆっくりと。 味わうようにあたしの中に、潜り込む彼。 あたしの小さな悲鳴に合わせて、何度も何度も。 そして絶頂を迎えるまで──。
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