信じるということ・2

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*** 「いらっしゃい、久しぶり」 「ご無沙汰してました」 深々と頭を下げ挨拶をすると目じりを下げたでんさんが、 「来てくれて嬉しいよ」 そう言って。 満面の笑顔を返してくれた。 今日はいつもより早い時間のはずなのに、店ののれんはすでに下げられていてお客はいない。 きっとあたしたちが行くことを小笠原は前もって連絡していたのかもしれないな、なんて思った。 顔に似合わずそういうところはマメだから。 でんさんに手招きされてカウンター前に腰を下ろすと、すぐに突出しとビールが出てきた。 やけに上機嫌のでんさんは、何故かグラスを三つ取り出してカウンターに並べて。 「崇も今日は飲むだろ」 「でんさんも飲む気だろ」 「そりゃそうさ。念願の詩子ちゃんに会えたんだからな。 ゆっくり詩子ちゃんと飲むためにのれんもかたしたんだぞ」 「どんだけ……」 そこまで言って絶句した小笠原。 それを見てまた楽しそうに笑うでんさん。 ホント。 兄弟みたいに仲がイイ。
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