信じるということ・2

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「──ごちそうさまでした」 楽しかった宴も終わり。 ニコチンが切れた小笠原は相変わらず外で一服だ。 「詩子ちゃん、コレ約束の」 手渡された堤袋はまだホンノリ温かくて、小さいのにずしりと重い。 「あ、小豆とカボチャの煮物ですかっ コレ本当に美味しかったからまた食べたかったんです。ありがとうございますっ」 お腹は満腹なのに匂いだけでまた食欲がわいてくる。 なんという魔力。やっぱり料理よね。 最後に人を引き付けて放さないのは食よ、食! 結婚式でも胃袋を掴めっていうもんね。 これからはあたしも料理だわ! ひとり脳内で決意表明しているとでんさんがつぶやく。 「いや、よかったな。 どうなることかと思ったけど、また詩子ちゃんに会えてよかった」 「そ、そうですか?」 「うん」 意味がわかるようなわからないような。 以前も意味深なことを言ったでんさんだから、あたしたちの変化に気付いているのかも。 途端に気恥ずかしくなったあたしは、へへっと笑うしかない。
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