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「お待たせしました」
店の前でタバコをくわえた小笠原は眉間に皺を寄せて不機嫌。
「毎回遅ぇんだよ」
「すみません。カボチャの煮物のお礼言ってたんです」
「……ベタベタしてたの間違いだろ」
「は?」
「アイツは油断ならねぇ」
……何ソレ。
もしかして、ソレこそが──。
「ヤキモチ、ですか?」
「うるせぇっ んなわけあるかっ」
悪態をつきながらあたしが手にした包みを取り上げて、さっさと前を歩いて行く。
でんさんには奥さんがいるんでしょ?
不貞くされた顔……ちょっと可愛い、かも。
小笠原を知れば知るほど、歳の差が縮まる。距離を感じなくなる。
『崇を知ってごらん』
でんさんが言っていたのはこのことだったのかもしれない。
人なんて性格はそうそう変わらなくて、凄く大人(おじさん?)に見えた小笠原も、きっと中身は若い青年のままで。
あたしはその外見や言動に惑わされていただけ。
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