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実際はとても真面目で単純で。
優しくて照れ屋で、可愛いくて。
そしてすごく尊敬できる人。
「先生」
行き先も言わずに前を行く姿勢のいい背中に話しかける。
「今日はあたしのおかげで、先生の立場が守られたんですよね?」
クスリと笑う声が聞こえて、そうだな、と返事が返ってきた。
「じゃあ、ご褒美ください」
「ご褒美?」
立ち止まって振り返った小笠原。
そんな傾いだ顔であたしを見下ろす表情も好きだと思う。
「手、……繋ぎたい、です」
離れた後ろを歩くんじゃなくて、隣を歩きたい。
ねぇ、いいでしょ?
おずおずと伸ばされたあたしの右手を小笠原はじっと見つめて。
「……ふーん」
暫し考え込む。
でも差し出されたのは“手”じゃなくて、……かぼちゃが入った包み。
「はぁ!? そ、そうじゃなくてっ」
「それで充分だろ」
「先生ぇ」
「ほら、行くぞ」
どこまでも甘くなれない意地悪なヤツ。
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