信じるということ・2

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もしかしたら小笠原は詩織を気に入ったのかもしれない。 たったそれだけのことで、あたしの中の黒い渦が動き出す。 「なんだよ」 小笠原があたしを見つめる。 あの逸らさない黒い瞳であたしを射るように見る。 「何をそんなに怯えてる。何が怖い?」 「何って……」 自分が怖い。 自分の中の嫉妬が。 自分では支配できない黒い渦があたしをあたしじゃないモノにしていく。 冷静ではいられなくなる。 「おい、今何考えてる」 いつの間にか逸らしていた顔を掴まれ戻される。 目の前にはあの見据えた瞳。 「お前、もしかして本気で宮野に妬いてるのか」 黒い心を読まれて顔の熱が一気に上昇した。 肘を掴まれ引き寄せられて。 そのまま到着していたエレベーターに押し込まれて凄まれる。 「今、お前の目の前にいるのは俺だろ。 俺のことだけ考えろ。 他は何も考えなくていい」 小笠原は苦しいくらいにあたしを抱き締めた。 そして。 「──バカヤロウ。 俺はお前しか目に入ってねぇ」 耳に触れた唇がささやく。 ……それって。
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